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屋久島病の日々編vol.2 2002/4/29発行
人生すなわち旅なのだ。ふらふらよれよれしつつ感じたことをそんな「旅先」からお届けします





屋 久 島 病 の 日 々
4月の屋久島へ(2)
2002年4月20日(土)雨
( 前回の続きです。
一度の空中旋回の後、プロペラ機はほぼ定刻通り屋久島空港に降り立った。着陸も
かなりスムーズで、パイロットに心の中で拍手を送った。)
屋久島はもちろん雨だ。愛子岳ももやに覆われていて全く見えない。
だが、一歩タラップに踏み出したとたん、ほのかな匂いが鼻をくすぐった。空気が甘い。
花の香りだろうか?思わず深呼吸。体と心がゆるゆると緩まっていく。
レンタカーNAVIに迎えに来てもらって、事務所でしばし話す。先客があり、その方
差し入れのサンドイッチをお昼にいただきながら、いわゆるご近所の話などを聞いた。
雨足は強まったり弱まったり。
「雲の色がそれほど暗くないので天気は回復に向かうだろう」とNAVI姉妹は
そろって言う。どこに住んでいても空を見上げ、生活への手がかりとする行為は
変わらないものだが、ここでは自然の影響力が大きい分、人々の関心をより引き
つけているような気がする。
すっかり落ち着けてしまった腰をようやく上げ、NAVI(妹)さんと出かけることに。
行き先は画家うえだまさのぶさんのアトリエだ。最近立ち上げられたHPを見て、
気軽にお邪魔できることを知り、気軽に電話をしてみる。(メールは出がけに送って
おいた)
ところが、事態は少し重かった。うえださんは電話に出てくれたが、きのう帰って
くると飼い猫が死んでたそうだ。原因不明。もしかしたら埋葬に行くかもしれないから、
留守なら待っていてほしいとのこと。
訪問は見合わせようとしたが、せっかくだからと快く応じてくださり、伺うことに。
アトリエは「一湊」という集落にある。その名の通り漁業の町で、名物さば節も
ここで作られているそうだ。
おしえられたとおり、県道からガジュマル通りに入る。民家が並ぶが、雨のためか
ひっそりしている。車を停めて少し歩くと「アトリエ縄文じいさん」と民家に表札が出
ていた。
玄関から呼びかけるとすぐにうえださんが出てきてくれた。
想像通り、穏やかな感じの人だ。
上がってすぐの畳の部屋に原画や複製画が飾ってある。ふすまが開放されて
いる続きの部屋に大きな真っ白いキャンバスがたたずんでいる。
相棒を亡くしたもう一匹の猫「ミー」も出てきて、相手をしてくれる。
なでるとふさふさとして暖かい。そのうちのどをごろごろ鳴らして、手をかわるがわる
押しつけおっぱいを飲む仕草をし、やがて眠ってしまう。
死んでしまった「トロ」と同様、まだ1歳に満たない子猫だ。しっぽや足にけがをして
いるのが痛々しい。外で生きるということは、大変だ。周辺には野良猫も多いらしい。
コーヒーをいただき、原画を見せてもらいながら、ぽつぽつと話を伺った。
「縄文じいさん」の絵のこぶのひとつひとつは本物と同じ位置にあるという話。
縄文杉の横顔と正面とでは表情が違うという話。
その横顔は絵の通り所々赤みがかっていて、「生きてる」感じがすごくするという話。
NAVI(妹)さんがひとつの絵をさして、「この空の色、見たことある」と言った。
黄色の空。私には「日に焼けた黄色」というイメージだった。
うえださんはとにかく黄色を使いたかったのだと言う。
NAVI(妹)さんは縄文杉のこぶのひとつをさして、
「どうしてもがガイコツに見える」と言った。
なるほど、見える。おもしろい。うえださんも賛同。
そろそろ引き上げるというときになって初めて、死んでしまった「トロ」の遺体
が玄関脇の庭にあるのに気がついた。少し苦しそうに目を閉じているように
見えるのは、また降り出した雨に打たれているせいか?
この旅では後にもう一件、飼い犬が野犬グループに鎖につながれたままかみ
殺されたというショックな出来事を聞いた。その話をしてくれた友人が、
「そういう時季でもあるのかもしれない」と言ったことが妙に印象に残る。
確かに、私が飼っていた犬が車にはねられたり、猫が死んでしまったりしたのも、
ツツジが咲く季節だった。
そこに何の根拠もないが、その言葉は、的確なような気がした。
夜は、NAVIさんたちとカラオケに出かけた。数年ぶりだ。
調子に乗って、UAとPUFFYと奥田民生と椎名林檎を歌った。
「黄色の空と縄文じいさん」原画
ガジュマル通り
こんにちは。ちょっと配信ペース早めですが、最初だけですので(笑)、
お許しください。
次回も屋久島病の日々編をお届けする予定です。
ご感想など、お待ちしております。
またたび日記は
『まぐまぐ』および『melma!』より発行しています。