屋 久 島 病 の 日 々
随時更新
2003年 夏。
8月2日(金)晴れ 栗生川〜いなか浜〜大川の滝
半年ぶりの訪島だ。いつものようにNAVIに寄り、車を借りて出か
けた。ちょっと急ぎ足。
知人Kさんがたまたま一緒の時期に来ていて、しかも友人のツア
ーでカヌーをしていると言うから、嬉しくなって襲撃。場所の目星を
付けて、橋の上からのぞいてみたならば、かくして水上でたゆたう
二人を発見。
この島では、冷夏も無縁な日射しが照りつけている。余計水上で
くつろぐ二人が、うらやましい。あ〜暑い!毛穴がふつふつ開いて
いく!!でも、風が吹いていて爽やかで、心地よい。
久しぶりの人たちとの、嬉しい再会。その後初めて島に来たKさん
と、いなか浜や大川の滝に出向いた。大川の滝では、滝壺から少し
下ったところで足を浸してたたずんでいたKさんの、その楽しみ方が
素敵だった。
もう一度くらい会えるといいね、と別れたが、結局この旅では会え
ずじまいとなった。(Kさんは程なく再度島を訪ねている)
8月3日(土)晴れ 白谷雲水峡
あんなに通った白谷も、気がつけば1年以上ぶりとなる。
一昨日夜の雷雨で、多少潤いを取り戻してはいるらしいものの、
晴天続きに乾き気味な苔たち。それでも沢の水はすぐ側で蕩々
と流れ、私たちは恩恵を受け取る。
手足を浸す。顔を洗う。ごくごくと飲む。そこにたっぷり水がある
ことの喜びを、感じないわけにはいかない。たくさんあるが故にあ
りがたさを見失ってしまうことも、またよくある話だけど、ことこの水
の豊かさに関しては、消して慣れきってはしまわない気がする。
それは、やはり、水が命そのものだから。
賑わう人波はそれとして、ゆっくりゆっくりと歩いた。
夜は初めて宮之浦のお祭りへ。神様を喜ばせる祭りのフィナー
レは、海に上がる花火。
一緒にいた友人は
「宝くじが当たったらこの打ち上げ花火に寄付したい」
と言う。思わず笑ってしまったけれど、ほんとにそんな、花火師に
感謝したいような、何かに感謝したいような、夜だった。
8月4日(日)晴れのちくもり一時雨 白谷雲水峡
今日も賑わう森の中、小さな男の子が空を仰ぎながらつぶやいた。
「雨の音がする」
一行のおしゃべりは止み、あたりは雨音に包まれた。葉っぱに、
岩に、人に、雨雫が当たっている。
多少の雨なら木々がクッションになって和らげてくれる。雨足が強
まっても、周りの風景がみるみる活気に満ちあふれてくるから、つい
嬉しい。
空が明るくなってきた。コンディションは上々。
「きっと、日の光を受けて、苔が宝石みたいに輝くよ」
と、雨を共に喜んだ。
もしかしたら今、森の植物たちは、歓声を上げているのかもしれな
い。自分に聞こえないだけかもしれない。また、耳を澄ませる。
8月5日(月)晴れ 安房川
冷えた碧の水にぶるぶるしながら身を浸し、沢登りが始まる。探検
みたいでわくわくする。ライフジャケットとシュノーケルマスクと足ひれ。
天の神様から見ればちょっと妙な格好で、沢を登る・・というか、泳ぐ。
ひとかきごとに、冷たいな〜。
かと思いきや、ここはぬるい。
水面がきらきら輝いて、きれいきれいと言い合いながら、漂ったり、
水中をのぞいたり、泳いだり。
森の緑や空の青を目に入れながら水上に浮かんでいるとき、自分が
地球に含まれていると、素直に感じる。安心感と、ちょっぴりの心もとな
さが入り交じった気分。
冷たい水から上がると、日を浴びた岩のぬくもりが心地よい。でも
またすぐに暑くなってきて、沢に飛び込むのだ。
8月6日(火)曇りのち雨一時晴れ 縄文杉(高塚山)
台風発生。進路が気になるが、接近はまだもう少し先のようだ。
2年ぶりに縄文杉に会いに行くことになった。くもり空の下、まずは
トロッコ道をひたすらひたすら歩く。
1泊なのでゆっくり行ける。程良い頃合いで入るガイドのレクチャー
は、良質のエンターテイメントだ。同行する8歳と11歳の姉妹も、元
気に歩く。
小杉谷小学校跡の空き地に、駆けまわる子どもたちを思い浮かべ
る。岩の上にモウセンゴケのちっちゃな花が咲いている。三代に渡り
命を継いできた杉が空に向かう。
ウィルソン株の中でしばし過ごす。周辺がどんなに混んでいようとも、
中は時間の流れ方が少し違うような気がする。子どもたちと湧き水を
味見し、祠に手を合わせた。
朝早くから登って、縄文杉をすでに見てきた下山組と、幾度もすれ
違う。団体が多く、なかなかスムーズに行き違えない。ちょっとしたい
らだちが、ちょっとずつ連鎖していく。
降ったりやんだりしていた雨が、だんだん強く降り出した。縄文杉の
前にたどり着く頃には、雷雨となった。このあたりでは、天然の屋根に
なってくれる木がないことを、身をもって感じる。
昼間はごった返していたであろうデッキの上に、今は私たちしかい
ない。傘を差しながら、思い思い対面の時を過ごした。
高塚小屋に着く頃には、雨は上がっていた。やがて夕日があたりを
照らしはじめた。もやの中で斜光が虹色を帯びながら幾本もさしこみ、
そのオレンジ色の光は、あたりに立っているヒメシャラたちにぶつかっ
て、木肌の上で溶け合っていた。
夕日はみるみるうちにその光を弱めていった。魔法のような瞬間に
立ち会えた不思議と喜びを、かみしめた。
8月7日(水)雨
翌日は雨。カッパを着込んで山を下りる。縄文杉の前で、また静か
なひとときを持つ。更に下りはじめると、縄文杉を目指す多くの人たち
とすれ違う。台風前のため、もちろんみな急ぎ足だ。
風が風力を増し、幾つかの橋の上では、体重のない女の子たちが
持っていかれそうになる。風向きを見ながら慎重に渡る。
嵐の前の静けさと怖さを一挙に味わった1泊2日。登山口から車に
乗り込む頃には、風雨は更に強まっていた。ぎりぎりのツアー催行だ
ったのかもしれない。
8月8日(木)雨 台風接近
台風接近。交通機関は全て欠航。窓の外でクワズイモが荒れ狂う
さまを、葉書なんか書きながら眺めていた。夜にはもう過ぎ去り、コ
インランドリーに出かけて洗濯をした。明かりにカナブンが大集結し
ていた。
8月9日(金)曇り
北上する台風を危ぶみ、大阪に戻るかどうか迷ったが、楽しみにし
ていた安房のお祭りが延期になったと聞いて、帰ることにした。噂に
聞く、ほぼ真下で見る迫力ある花火を、いつか見ることができるだろ
うか・・。
帰った足で環状線に乗り、コンサートに出かけた。ライトアップされて
いる大阪城を横目に、開演時刻を回った会場へ急ぐ。野外音楽堂は
熱気に包まれていた。
月がかっこいい
笑ったこと 泣いたこと 楽しかったこと 悲しかったこと 全て知りたい
なんてひどい雨
僕ら夢を見たのさ とってもよく似た夢を
感覚が屋久島モードなまま開いているせいか、揺さぶられてしょうが
なかった。
昼間降っていたであろう雨はすっかり上がり、雲の切れ間にはダイア
モンドがちりばめられていた。

夕日が高塚小屋前を照らす。
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