屋 久 島 病 の 日 々
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初詣(屋久島)
2002年2月9日(土) 晴れ
またまた屋久島に降り立つことができた。やはり11時半着のYSで。昨夜は荷作りしなきゃ
ならないのに、いつの間にか寝てしまい、起きたら朝の5時過ぎだった。7時過ぎには家を出
たい。焦ってかばんに見さかいなくぽいぽい放り込んだら、とても3泊とは思えないくらいのデカ
かばんになってしまった。でも選別している猶予もない。やや遅くなって7時半に家を出る。デカ
かばんで駅やら空港やらを小走りすると、朝食が取れなかったこともあってか、早くも疲れてきた。
・・・おなかすいた・・・のども渇いてる・・・荷物検査終わったらなんか食べよう…というモクロミも、
セキュリティーチェックへの長蛇の列のおしりに付いた時点であきらめる。鹿児島に着いたらなん
か食べよう。前の方のおじさんがうまそうにリンゴジュースを飲んでいる。くう〜、私にもちょうだい!
5分前に搭乗口に到着。やれやれと乗り込んだが、なぜか30分後れて9時半発。当然鹿児
島にも30分遅れで着。屋久島への10時45分発便まで、あと15分しかない・・・。先ほどの機内で
リンゴジュースはゲットできたものの、空腹は相変わらず。いや、通り越して「食べてないんだよ〜」って
不安感が頭をもたげてる状態。ま、いいや。屋久島はもうすぐそこだ。
夕べの不規則な睡眠のおかげで幾分ぼんやりしながらも、プロペラ機に乗り込んで窓外の
桜島や開聞岳を気にしつつ取り掛かったのは、カメラのお掃除だった。久々にスチールカメラを
使ってみようと思い立った。フィルムもポジにしてみよう。昨年の春にデジカメを購入してから、
ほとんど使っていなかった。なんだか新鮮だな〜。ほっといてごめんよ。
本格的なやり方はわからないので、とりあえずレンズやフィルターの埃をブロアで吹き飛ばし
たり、専用の洗浄液でぬぐったりしてると、40分の飛行時間はあっという間に過ぎ去った。
下降のアナウンスを耳にして片付けていると、隣の席の人に声をかけられた。
その人は雪の奥岳をひとりで縦走しにきたらしい。今の時期、積雪は腰あたりまであると聞く。
経験豊富な人のようだった。私もいつかは雪の奥岳を歩きたい。人生の目標のひとつだ。
山々が見えてきた。やはり、「洋上のアルプス屋久島」なのだ。カメラに収めようかと思ってたら、
あるポイントから急に山がかすんで、そのまま晴れることはなかった。なんでだろう?
などと思ってる間に飛行場に着いてしまった。 あー、屋久島だよ。
預けた荷物を待っている間に、予約者名が書いてある迎えの看板を持ったレンタカーNAVIさんを
見つけて近寄る。
「ちょっと持ってて!用事ができた!」
と看板を預けられる。とりあえず掲げて、誰が来るかとどきどきしながら待った。なんだか地元で
働く人みたいで、ちょっと嬉しい。先ほど隣に座っていた男性が、笑いながら会釈して通り過ぎてい
く。
「誰かと思ったら・・・」
声をかけてくれる人がいた。以前2度宿泊したことのあるペンションのオーナーだった。
『ヒュッテ フォーマサンヒロ』…「フォーマサン」とは、屋久島にも多数生息する「ズアカアオバト」の意味、
鳥好きのオーナーらしいネーミング。そして、「ヒロ」は・・・?以前からの謎が解かれる瞬間を思いがけ
ず迎えた。
「フォーマサンヒロのヒロって、どういう意味なんですか?」
いきなりの質問に、オーナー快く答えてくれる。
「家内の名前から取りました。」
かくして謎は解けたのだった。ご夫婦で今から島外に出かけられるとのこと。奥様とも握手をして、束の間の
再会を嬉しく終えた。(結局、看板の名前の人は次の便で来ることが判明した。)
屋久島には春の風が吹いていた。少しひんやりしているが、日差しがちゃんと暖かいので吹かれ続け
ていられるような、そんな風。ここ数日、このようなお天気が続いているとのこと。
その日の動きは決めていた。私にとっては今年初めての屋久島。なので、初詣。NAVIさんも一緒に
出かけるので、次の便の仕事が終わる2時過ぎまで2時間近くある。昼食を買いに行き、海沿いに車を
止めて食べた。カラスが近くの木に止まって、何か話しかけるようにずっと鳴き続ける。(あげないよ。)
初詣第1弾は一湊にある矢筈嶽神社。私のお気に入りの神社だ。ここは岩窟の中に祠がある。いつから
あるのか定かではないが、漁を見守る神様のようである。『大漁祈願』旗がたくさんそなえられていた。
NAVIさんは島に7年いて、神社好きな人でもあるが、ここに来るのは初めてらしい。地元にいると、
案外そういうものなのかもしれない。お参りのあと、赤い鳥居越しにぼお〜っときらきら光る海を眺めてい
ると、何というか、それはもう「日常」の範囲になってしまう。この島の、今ここにいるものとして、ただ
詣でたにすぎない。それ以上でも以下でもないから、その行為に外からも地元もないような気がする。
洞窟の天井を見上げると、鮮やかな緑色をした植物が、岩の間からたくましく生えている。
鳥居越しに写真を撮る。うん?なんとなく音が鈍い。フィルムがちゃんと送られていない?心配になるが、
蓋を開けるのもためらわれ、そのままにしてしまった。
初詣第2弾は宮之浦にある益救(やく)神社。古くからの歴史を持つ由緒正しき神社だ。ちょうど心地
よい広さの境内に、杉たちがすっくと立っている。その奥に本殿がある。私たちのほかに人影はない。
昼間に来るのは初めてだった。私の腕ではこの神社の雰囲気を写真に収められないことを確信し、
撮るのをやめた。(他の写真も伝えうる代物とはいえないが…。)
夜に食事を共にする約束をして、仕事が残っているNAVIさんと一旦別れる。移動の澱を体にためていた
私は、近くの楠川温泉に出かけた。蛇口からも温泉の湯が出てくるので洗髪には不向きかもしれないが、
髪も洗ってさっぱりした。居合わせた二人の地元のおばさんの会話は、地域色が強くてよく聞き取れな
かった。「蛇口から出るのも温泉のお湯なんですね」と話しかけてみる。
「みんないっしょじゃ」と返事が返ってきた。
温泉を出て、待ち合わせの時刻までまだ少し時間があったので、安房の松峯大橋にでかけた。
ちょうどNAVIさんから初物のたんかんをもらっていたので、橋の上から景色を眺めつつ、食す。
風呂上りにジューシーなたんかん、まことおいしい。実はかつて柑橘類があまり得意ではなかっ
たのだが、たんかんに出会ってから、みかん全般が大好きになってしまった。これってすごいことだ
と思う。このたんかん、NAVIさんが県道を歩いていると後ろからたんかんを積んだ軽トラがやってきて、
乗っていたおじさんが「持っていけ」とくれたらしい。そのおじさんと面識はないそうだ。
ここは身投げの場所でもある。透き通る緑色をたたえた川を覆うようにブロッコリーのごとき濃淡
モコモコの美しい緑。吸い込まれるのも無理はないかもしれない。
夜は居酒屋へ。キビナゴのから揚げが気に入る。とびうおの刺身に酢味噌をつけるのには馴染まず、
しょうゆとわさびを持ってきてもらう。地元の甘いしょうゆには馴れないなぁ。
そんな感じで屋久島1日目の夜もふけていった。明日はウコン掘りの予定だ。
(続く)
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矢筈嶽神社鳥居からの風景