またたび日記

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ハクの神社へ 

2002年4月29日(月) くもり

 「千と千尋の神隠し」という映画をご覧になった方も多いのではないか。
宮崎駿監督、ベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いたアニメーション作品。
 あらすじはここでは省くが、ごく簡単かつ乱暴に言えば、10歳の少女が
「自分に本来備わっている生きる力」に気付いていく物語だ。

 「トンネルの向こうは、不思議の町でした」という糸井重里氏のコピー
の通り、八百万の神様たちが湯治に来るような、不思議でいてどこか
懐かしい町を舞台に物語は展開される。

 タイトルに戻ると、「ハク」とは湯屋の帳簿を預かる少年。川に住んでいた
龍神様という設定。でも、もう自分の名前も思い出せない。もといた川も
マンション建設のため埋め立てられてしまって、今はない。
 かつて自分(川ですね)に落っこちた千尋を助けた縁で、不思議の町
に迷い込んできた彼女を陰日向になり助けていく役どころである。
後半ではたくましくなった千尋が反対にハクを助けることになるが。

 で、今回その「ハク」ゆかりの神社を訪ねた。そんな神社が存在するとは
ゆめゆめ思っていなかったのだが、ある人のHPから情報を得た。それが
住んでいるところからさほど遠くないので、これはもう、行くしかないという
感じだった。(ミーハーです)

 ハクの本名は「ニギハヤミコハクヌシ」という設定だ。今回訪ねた
大阪府交野市の私市(きさいち)にある「磐船(いわふね)神社」は、
ハクの本名の由来となった饒速日命(にぎはやひのみこと)をご祭神とする。
ご神体は命が天から降りてきたときに乗ってこられたとされる「天の磐船」
といわれる高さ12メートル、幅12メートルある船の形をした巨大な
磐座(いわくら)だ。

 ほかにも数多くの磐座が集まり、行場霊場となっている。また、岩窟巡りとして、
一般の人も参拝できる。
 
 その岩窟巡りをしてきた。
 白衣を借りて、いざスタート。
 岩の間を縫うようにして下へ降りていく。日の光が遠くなり、薄暗い洞窟を
を進む。岩の上は苔が少しのっていて、滑りやすい。注意しながら、岩を伝って
いく。
  
 流れ込んでいる川の水音が絶えず耳に入る。時折ぱぁっと光が当たる洲の
ような場所が開けることもあれば、人一人がやっと降りていけるほどの隙間を
下るところもある。よどんだ水や小さな滝のように流れる水が常に近くにある。
  
 岩と苔、それに水の流れとくれば、屋久島を思い出さないわけにはいかない。
それも手伝ってわくわく度倍増だ。
 水際でゆっくりとしていたい心持ちになり、終わってしまうのが何だかもった
いなかった。
 
 15分ほどで抜けられる、土地面積的には狭いスペースで、(まるで狭い遊園
地のジェットコースターのように)岩の間をぐるぐると回るルートであるはずなのに、
あきらかに地上とは空間の質が異なるのが不思議だった。
 もちろん参拝という行為がそうさせる部分もあるだろうが。

 低い天井で頭を打たないように屈みながら上った先に闇があった。
ほこらにあかりが灯され、「白龍」が祀られていた。
 一緒に歩いていた友人の一人が祝詞をあげてくれた。

 程なく、出口が見えた。


 繰り返しになるが、この映画で主人公の千尋は、自分に備わる「生きる力」
に気付く。
それは、自分という存在を心から実感できたということではないだろうか。
そうして、誰でもない、唯一無二の自分を生きられる幸せにつなげていくのだ。
 最後にハクが空の上で自分の名前を思い出した(取り戻した)あの感激の
シーンも、同じであるような気がする。
 ハクが守護神として住んでいた川は埋め立てられてしまったにもかかわらず、
千尋との別れ際、彼は前向きな言葉を放っていたのだから。

 キャラクター「カオナシ」(いやはや、すごいネーミング)が出てくるにつけ
身につまされていた私は、この映画をそんな風に観ていた。


 つまり、私は「千と千尋の神隠し」という映画について話したかったという
わけです。

                                           おわり


磐船神社(うしろにそびえる岩がご神体)


磐船神社
所在地:大阪府交野市私市9丁目19ー1

http://www.threeweb.ad.jp/~iw082125/index-j.html

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