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「極私的報告書」を読んだ。
2002年3月9日(土) 晴れ
昨年9月から今年の1月まで、山梨県立科学館で『オーロラストーリー』という
プラネタリウムが上映された。また、同時期に星野道夫写真展や『アラスカから
次世代へのメッセージ』という講演会も催された。
これら一連の企画者は高橋真理子さん。同館で天文学芸員として活躍されて
いる。
企画後の報告書を読ませてもらう機会を得た。2MB以上の『ぶ厚い』添付ファ
イルは、その中身もぶ厚かった。それは、『結晶』の記録とも言える気がした。高橋
氏の今までの道のりが、彼女自身の手によって輝く形で世に送り出されるまでの
記録。それは私にとって眩しい報告書であった。
この極私的報告書のタイトルは
『21世紀の幕開け 星野道夫の精神を見つめ直す』
〜山梨県立科学館における星野道夫を軸とした一連の企画についての
“極私的”報告書〜
という。大まかには以下のような項目で構成されている。
『はじめに〜自分史にかえて〜』
『企画概要』
『プラネタリウム番組「オーロラストーリー」』
『プラネタリウム共同企画「アラスカから次世代へのメッセージ」』
『星野道夫写真展〜悠久なる時の流れ〜』
『ガイアシンフォニー第3番』
『一連企画に関する報道』
『おわりに〜未来に向けて〜』
山梨県立科学館での催しのことも、この報告書のことも、ある星野道夫関連の
インターネットサイトで知った。(『地球の自転軸を星野道夫に傾ける』
http://www.age.ne.jp/x/toriumi/hoshino/h_cont.htm)
高橋さんは星野道夫に手紙を書いて、アラスカとつながった偉人(笑)だ。ちょう
ど星野氏がシシュマレフの村長さんに手紙を書いてアラスカに旅立ったように、
その手紙を機にやがて彼女はアラスカの地を踏んだ。
そのことも上記サイトの掲示板で知った。そんな人もいるんだ!星野道夫に「間
に合った」人。
残念ながら山梨へは足を運べなかったが、その後掲示板で報告書に関する書
き込みに目を通すうちに、どうしても読みたくなってしまった。それで、高橋さんに
メールして、手に入れることができた。
星野道夫の言葉をじかに聞き、ギターを聴き、建設中の家を見せてもらう。報告
書にはそんなうらやましい出来事がどんどん綴られていくが、読みすすめるほど
当時の高橋さんに「よかったね!」と言いたいような嬉しい気分になる。どちらか
というと静かで、内に秘めたような印象を与える文体のせいだろうか。
報告書の中で一番興味深かったのは、最初に書かれた高橋さん自身の足跡だ。
大学、大学院と地球物理学を学び、ミュージアムを創るという夢を得る。やがて現
在の職場で天文担当としてプラネタリウムに携わる。プラネタリウムがミュージアム
〜総合的で、科学も音楽も文学も全部ひっくるめられるところ〜にかなり近いメデ
ィアであることに気付く。
『中心に宇宙がある。そうすれば、どんな分野ともつながっていく』(引用)
選び取った道を全うしようとする心の持ち方が、発見につながっていく。
その後の映画「地球交響曲第3番」や龍村監督との出会いのくだりにもどんどん
ひきこまれていく。この報告書は、そのまま心に触れるものを信じ、進んでいく高橋
さんそのもののような気がしてくる。入手できたことに感謝した。
プラネタリウムのシナリオや写真展の概要、来館者の感想を含め、報告書は45
頁に及ぶ。ここでそれらを伝えることはとてもできないが、縁あってこの日記を読
んでくださった方々にお渡しすることは可能だ。興味をお持ちの方は、当方宛に
お問い合わせいただければ嬉しい。
さいごに、星野道夫写真展に添えられた高橋さんの言葉の一部を紹介したい。
『21世紀における課題は数多くありますが、こんなことが一つ言えるでしょう。自分の
境界を自分の肌と決めてしまうのではなく、地球という大きな生命にまでどこまで近
づけることができるか、どこまで自分と思えるだろうか、そして、それを大切に思える
だろうか。そういったことを、星野道夫氏による写真から感じとっていただければ、と
思います』
一連の企画及び報告書を貫いているのは、「星野道夫」の魂であった。星野道夫が
渡した数多くのバトンのひとつが、ここにあった。星野道夫はある意味では確実に生
きている。いや、生かされているといってもいいのかもしれない。高橋真理子という人
の物語の中に。そしてそれはやがて、また次の物語に受け継がれていくことだろう。
ただそこにあるというだけで、何かを想像し、気持ちが豊かになる自然に思いを馳せつつ・・。
(おわり)