またたび日記

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ブルームーン
(京都)

12月30日(日) 晴れ時々くもり
 
 年末恒例のライヴを聴きに、
京都河原町は富小路通りにあるライヴハウス「磔磔(タクタク)」へ向かう。
 阪急京都線四条河原町駅から地上に出た。例の京都だ。
大通りがまっすぐに伸び、それぞれが直角に交差している。
間を縫うようにこれまた直角に魅惑的な路地が延びている。
 
 なぜか幼いころから路地が好きだった。
通りすがりにひとん家をのぞくのも実は好きだ。
なんでだかわからない。
そこだけにある独特の、それでいて懐かしいような、
そんな雰囲気が好きなのかもしれない。
 路地には昔ながらの(あるいはそれを装った)家屋や店が軒を連ねる。
一歩入ればワンダーランド。看板などにも時代をにおわせるものが多い。
寺社の観光もいいが、私がゆっくり京都を訪ねるなら、気の向くまま路地を
ほっつき歩くだろう。
いや、いつか歩こう、近いうちに。
 山が近いからか、繁華街であっても、空気が凛としている気がする。
歩道には行きかう人・ひと・ヒト。
肩ぶつかりまくり。  
 
 …などと思いをめぐらせるのはいいのだが、生粋の方向感覚皆無人間であるため、
何度も通ってる道であるにもかかわらず、逆方向に歩いてしまったようだった。
つまり、「富小路通り下る」ところを上ってしまったようだ。
そんなわけで、錦小路に出てしまった。
ここは市場。食材を売る商店が連なる狭い道筋は
年始の買い物目当ての客でごったがえしている。
タクシーが道幅いっぱいに通っていく。
(よく人を引っかけないものだ。)

活気に押され、しばし市場の様子を眺めた後、目的地にとって返した。
再び大通りに出、今度こそ富小路通りを下る。
「磔磔」にたどり着いた。昔の蔵を改造したライヴハウス。

整理番号順に入場する間、月を探した。
今宵は今月2回目の満月。「ブルームーン」だ。
その言葉は転じて「めったにないこと」という意味も持つ。
今回の月は木星も従えるということで期待していたが、
あいにく家屋に阻まれ、姿は拝めなかった。

音は空気を震わせて伝わってくるという実感と、
この世に音楽があってよかったという想いとともに、
ライヴハウスを後にする。
一歩外に出ると、頭上高く、木星をほくろのようにたずさえた満月が、
煌々と夜空にいた。


(おわり)

 

     錦小路             四条通

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